本日も晴天なり。

「ちゃっかり」が座右の銘のワタクシ。毎日を楽しく驀進中。 趣味でネット小説を書いています。その更新状況やイラストアップなどの報告も兼ねて。

2012年09月

(話)山の上学園生徒会執行部の日常⑦


 「バレンタインの騒動」①


 新年、明けましておめでとうございます、皆様。ナビゲーターの生徒会書記、2年の吉沢奈美子でございます。

 明けまして、というには結構な時間が経ってますが、まあ、皆様そんな細かいことお気になさらないでしょ、しないはずですね、ええ、そお~んな細かいこと。

 時は既に2月!学年末の3学期が始まって、3年生の皆様は既に進学先を決めた方も、推薦枠に突っ込んだ方も、就職を決められた方もいらっしゃいますが、まだ、全員がうはうはではありません、勿論。

 推薦もなく、センターも振るわず、受験A日程も落ち、これから3月のB日程に命を懸ける受験生の方もいらっしゃいます。そんなわけで、3年生はもう授業もなく、ほとんどがお休み状態で、たまーに勉強せざるを得ない方々が教室解放に登校する程度です。

 ・・・が、何故か、3年生なのに学年末まで執務が義務付けられている我が山の上学園の生徒会では、会長の漆原大地様と副会長の渡瀬さんがちゃんと出勤していらっしゃいます。

 そうは言っても皆様ご存知の通り、やることなんてないんですよ。だって部費の振り分けも済んでるし、もう生徒会としては卒業式まで用事がないんです。そんなわけで普通は歴代会長も副会長も不在のはずの3学期に、代83代生徒会の我が会長様と副会長様は毎日のように出勤なさるんです。必要ないのに、です。

 ―――――で、何をしてらっしゃるかというと。

「安藤、違うのよ、そうじゃないでしょ!?」

 副会長の渡瀬さんは今日も馬鹿でかい黒の鞄から革製の鞭を出して、床をぴしりと叩いてらっしゃいます。ちなみに、この革製の鞭、高価なものだそうです。一度渡瀬さんがうっとりと鞭を見詰めて撫でさすリ、仰ってました。

 ヨシナミちゃん、この子(鞭ですよ、鞭)素晴らしく綺麗でしょう?相当お金を積ませられたけど、その価値はあるわよね・・・

 と太くアイラインを引いた瞳を美しく細めて微笑んでらっしゃいました。

 私はそれにいかにまともな相槌を打つかで16年の人生でこんなに使ったことないってくらい頭を活動させましたのでハッキリと覚えているのです。

 で、いかほどだったんですか、とは恐ろしくて聞けませんでした。渡瀬さんの財布を一度見せてもらったことがあるのですが、高校生なのに何故か福沢諭吉さんが団体で詰まってましたので、どこでどう稼いでいるのかと疑問に思ったものでございます。そんな人の言う「高い」とは、どのくらいなのか・・・・非常に気になりましたが、当時この変わった人材で構成されている生徒会に突っ込まれたばかりの私に質問する勇気はなかったのでした。

 さて、その鞭に震えながら(あ、ちなみに歓喜で、ですよ)生徒会の使いっ走り安藤君がわたわたと床の上を這っております。

 両手両足を縛られているので、その動きはまるで芋虫のようで、虫全般が苦手な私は怖気をかんじるほどです。でもここで吐くわけにはいきませんから、そちらには目をやらないようにしているのでございます。

 どうやら、「自由を奪われた状態で女王様の足を舐める修行」(渡瀬さん談)だそうで。

 ・・・ああ、見苦しい。私はついに決心しました。そしてキッと二人を睨むと、声を大きくして言ったのです。

「止めてください!見苦しくて不快です!先生がご覧になったら悪質ないじめとして問題になりますよ、渡瀬副会長!」

 すると、渡瀬さんはきょとんとしたお顔で、あらまあ・・・・と仰りました。

「ヨシナミちゃん、大丈夫よ。これはいじめでなくて、修行。ほら、安藤も喜んでいるでしょう?」

 おええええ~!と吐きそうになった私に代わって、最近では大学の数学問題を解いているらしい会計の砂菱君が突っ込んでくれました。

「・・・いえ、そこでなくてですね、その、見ている方が苦しいので止めて欲しいんです、副会長」

 よく言った、砂菱君!君は心根は悪魔かもしれないけど、一般常識を持っているところが私は大好きだ!と思わず心の中で絶賛しました。

 え~?と膨れっ面になる渡瀬さんの横を通り過ぎ、私はここのトップであるはずの、会長様に近寄ります。

 もう一人の3年生、ここに来る用事はないのに律儀に毎日出勤される生徒会長、漆原大地様は、ここで毎日――――――昼寝してらっしゃいます。

「会長~!!何とかしてください!ってか起きてください!」

 もしくはいっそ廊下で寝て凍死の方向でお願いいたします!全然役に立たないんだから~!

 私は寝ている会長様の肩をぽんぽんと叩きました。

 すると会長様はもそもそと動き、うっすらと目を開けて私を見上げました。

「・・・・何?」

「渡瀬さんを止めて下さい。ここで女王様プレイは迷惑なんです~!」

 私の苦情を聞いて、漆原会長は両目の上においていた腕を下におろし、ゆっくりと仰いました。

「・・・・渡瀬、安藤」

 鞭を持った渡瀬さんと床で転がっている安藤君が顔を会長に向けました。

「なあ~に?」

「はい、会長!」

 だるそ~な低い声で、会長は言葉を続けました。

「・・・それやめて、チョコレート分けて」

「は?」

 渡瀬さんと安藤君ではなく、私と砂菱君がはもりました。何ですと?チョコレート??一体どこからそんな単語が?

 ・・・・と思って、ハタと気付きました。

 そういえば、本日のっそりとこの部屋に現れた会長様は両手に重そうな紙袋を持ってらっしゃいました。・・・あれ、もしかしてチョコレートだったのでしょうか。

 私は隅に置かれた紙袋を見詰めます。

 砂菱君が言いました。

「あ、バレンタインで貰ったやつですか?会長、もてますねえ~」

 ―――――ええっ!?

 今度は砂菱君以外の3人ではもりました。

 このダレダレやる気全くなしの生徒会長がもてる!?まさか、そんな!と私は失礼なことに心の中で絶叫したのでございます。

 しかし、本日は2月19日。確かに先日のバレンタインで、心根は悪魔でも外見が天使な優等生の砂菱君は大量にチョコレートを貰ってきてました。思い出しました!きっと砂菱君の性格に気付いていない純な女子から貰ったのでしょう。

 彼が笑いながら部費を削ったり、それを元に戻してくれと泣きながら頼む各部長に「3回まわってワンと鳴いてください」などと言ったり、テストにそのテスト問題より遥かに高度な数学の問題をかいて提出したり、廊下で拾ったラブレターを校内の掲示板に貼り付けて誤字脱字に赤を入れたりしているとは知らない可愛い女の子達が。

 でも安藤君と会長様はてぶらでしたので、まさか大きな紙袋4つほどのチョコレートを貰っているとは思いませんよ~。

 渡瀬さんがちょっと?と会長様に詰め寄ります。

「漆原君、説明が必要よ。このチョコレートは、まさかと思うけど、バレンタインにあなたが貰ったものなの?」

 ソファーにぼーっと腰掛けて、だるそ~に会長様はお答えになりました。

「・・・一応、名前は俺宛だな」

「本当!?一体どこの物好きが!!それにどうして今更もってくるのよ!バレンタインは5日も前でしょうが!」

 会長、格好いいです~と影で拍手をする安藤君を睨みつけて、渡瀬さんが声を荒げます。確かに、今更、ですものね。

 するとまたずるずるとソファーに寝そべりながら、漆原大地会長は言いました。

「・・・・ずっと教室に置いてた。・・・担任に怒られたから持ってきた」

 酷いっ!酷いです、会長!女子生徒の心の篭ったチョコレートをそんな風に扱うなんて!

 私は憤然としました。砂菱君は嬉しそうな笑い声をあげております。するとまた完全に寝そべった会長様はひらりと片手を振りました。

「・・・きっと思ってるのと違う。あれ、生徒会長宛になってる・・・。ついでに、くれたのは女子じゃない」

「は?」

 全員で会長様をガン見します。一体どう言う事でしょう!男からチョコレート貰ったってことですか!?渡瀬さんが首を傾げながら紙袋に近づきます。

 後3人も、好奇心には勝てず、そろそろと近づいていきました。



 

(話)山の上生徒会執行部の日常⑥


 「12月のスイカ割り」③


 そんなわけで、我が山の上学園生徒会の部屋の真ん中のテーブルには、ただ今スイカが鎮座しております。

 スイカ・・・・で、これを一体どうするおつもりなのでしょうか、上級生の皆様は。って会長は寝てますけどね。多分食べられる状態になったら起きてくるのでしょうね、恐らくね。

「どうするんですか?当たり前ですが、包丁などありません」

 私の問いに答えたのは副会長の渡瀬さん。先ほどから鞄をごそごそやっておられましたが、その目的がやっと判りました。

 彼女の真っ黒で飾り気のない大きな鞄から出てきたのは大きな棍棒です。

「あったあった」

 嬉しそうに渡瀬さんはにっこりと微笑みます。

 思わず私達・・・えー、つまり、この場でまだまともな私と砂菱君、のことですけれども、私達は口をあけてそれをガン見しました。

 なぜ、鞄から棍棒が?

 そしてその棍棒の使用目的とは?

 そしてそしてなぜ、彼女は学校指定の鞄でないのでしょう。

 色々突っ込みたいところが山ほどあって、どれから言ったらいいのか判りません。私が若干の立ちくらみを覚えテーブルに肘をついて体を支えたのも仕方のないことですね。ええ、私はデリケートなのです。

 砂菱君がこほん、と空咳をして、口を開きました。

「・・・・副会長、それでどうするんですか?」

 うん、砂菱君。現実、そう目の前の現実を見ることは大変大切なことではあるんだけどね、私は先に聞いて欲しかったのよ、何故、鞄から棍棒がでてくるのかを。

 仕方ありません、自分で聞くことにしましょう。

「えーっと、渡瀬さん。どうして棍棒を学校に持ってきているのですか?」

 え?とこちらを振り向いて、その棍棒を肩に担ぎながら、彼女はそれはそれは美しく微笑みました。角が生えてないのが不思議なくらい似合ってました、棍棒を担いだお姿が。

「何言ってるの、ヨシナミちゃん。日々女王様になる訓練を怠ってはならないのよ。具体的にどうするか知りたいなら、今から安藤を使って―――――」

「いえ、結構です!!」

 微笑んだまま安藤君を見下ろす渡瀬さんの目に異様な炎を認めて、私は叫びました。私の前では止めて頂きたい!私はまともな感覚のまま社会に出たいのです。

 え~いいのお~?と膨れる渡瀬さんに、今度こそと砂菱君が聞きました。

「・・・で、それでどうするんですか?」

 渡瀬さんは砂菱君を振り返ってうふふと笑うと、いやあねえ~と手をピラピラ振りました。

「スイカよ、スイカ。そしてこの棍棒。二つ揃えたら、何をするかなんて一目瞭然でしょう?」

 まさか。

 私と砂菱君は目を合わせます。

 そのまさかでした。

 渡瀬さんは安藤君に命令をし、床に新聞紙を敷かせると、これまた自分の鞄から出した革製の黒い目隠しで安藤君の顔を縛り付けました。

 使用方法は実地で見てしまいましたが、多分・・・いや、確実にあれも女王様修行に必要なものなのでしょう。実に鮮やかな手際で安藤君の両目は隠されました。タイム計りたかったです。

 そして腰に手をあて、一言。

「おやりなさい」

 安藤君は見えない尻尾をさかんに振って、はい!と大声で返事をしました。私と砂菱君はハッとして、急いで自分の荷物を引っつかんで逃げました。

 だって、あの黒くて(多分)金属製の棍棒が!目を隠された安藤君によって振り回されるのです!!あんなの頭に一撃されたら、まっすぐ天上世界へGO!ですよ。まず間違いなく。

 私達がぎゃあああ~と生徒会室を逃げ回り、安藤君は適当に勢いよく棍棒を振り下ろしまくります。なんて迷惑なことでしょう。

 そのことの起こりを促した生徒会長様は一人ソファーですやすやと昼寝してらっしゃいます。ムカつきます。いっそのこと、安藤君を手を叩いて誘導し、ダレ会長様を殴らせて―――――いやいいや、何を考えてしまったのでしょう、私。落ち着きましょう。ダメですね、殺人は。

 安藤、そこじゃあないでしょう!と渡瀬さんがお怒りです。慌てた安藤君、もう滅茶苦茶に床をどつきまくります。

 うぎゃあああああ~と逃げる私達。

 安藤君が勢いよく棍棒を振り下ろし―――――バキャっといい音がして、ついにスイカが割れました!

 それと同時に、ドアも開いたのでございます。

 そしてそこにいたのは・・・・。

「・・・・・お前ら、一体何してるんだ」

 あらまあ。全員で固まりました。

 そこにいらっしゃったのは、我が生徒会の担当教師であります湯川先生でございました。湯川先生がご覧になったのは、こんな光景。

 黒い革製の布で目隠しをされた安藤君が、真っ黒の棍棒でスイカを叩き割った状態で、それを部屋の両端から自分の鞄を胸に抱えて見ている書記と会計。腰に手をあてて微笑んだままの副会長と、一人別世界で睡眠を楽しんでいる会長。

 ああ、それは珍しい光景だったことでしょう。

「やった~!割りましたよ、副会長!」

 一人嬉しそうに目隠しを外して、安藤君は喜びました。それを見て、湯川先生はため息をついて部屋に入ってらっしゃいます。

「あら、先生。いいところに。スイカ、食べます?」

 渡瀬さんが朗らかに先生を誘います。私はハラハラしながらそれを観察しておりました。

 先生はうんざりしたようなお顔で、ソファーの漆原会長に近寄りました。

「―――――漆原、何とかしろ」

 揺り動かされてもいないのに、もぞもぞと会長様は起き上がりました。案外眠りが浅いのかもしれませんね。そしてまず目をこすり、先生を見上げ、周囲の状況を確認しました。

 そして安藤君に、あのさ、と声を掛けました。

 思わず全員で聞き入りました。何だ!?何て言うつもりだ!??

 眠そうな声で、一言。

「・・・皿、借りてきて。家庭科教室から」

 はい!と敬礼をして、安藤君は棍棒を渡瀬さんに恭しく返し、生徒会室を飛び出していきました。

 ・・・そこ?そうではないでしょ、カイチョー様。私が力が抜けてずるずると椅子に座ると、前で同じように砂菱君が腰かけていました。

「・・・いや、漆原、そうじゃなくてだな。俺としては、学校で、しかも真冬にスイカ割りはどうかと思うのだが・・・」

 湯川先生は手の平を首にまわして呆れて呟きます。

 欠伸を一つして、会長様は仰りました。

「湯川先生、これ、垂水先生が歳暮で貰った高いスイカなんだそうですよ」

「何!?垂水先生のなのか?」

 湯川先生、急に目の色が変わりました。・・・スイカ、お好きなんでしょうか。

「それを早く言えよ!垂水先生ので不味いものはないからなあ!俺も食べていこう」

 ―――――間違ってます、教職員!それ激しく間違ってます!

 そんなわけで寝起きの会長様はいとも簡単に注意に来たはずの担当教師を巻き込んで、真冬、ヒーターで暖められた生徒会室で、高価なスイカを食べてらっしゃいました。

 やっぱり、この方、恐ろしい人なのかもしれません・・・。私はそんなことを考えながら、しっかりとスイカを賞味いたしました。

 確かに、大変、美味でございました。

 ですが、もう2度と御免でございます。




「12月のスイカ割り」完。

(話)山の上学園生徒会執行部の日常⑤


 「12月のスイカ割り」②


 さて、生徒会室でそれぞれがそれぞれの用事をして安藤君の帰りを待っておりました。

 スイカ・・・・。無いと思うんですけどねえ。まさか、真冬のしかも高校に。私は本日の現国の課題を片付けて、ふう、と息をつきました。

 やれやれ、やっと終わりました。漢字の書き取り読み取りは好きなのですが、長文の読み込みはあまり好きではありません。本を読むなら自分の好きな本を選びたいものです。大体課題図書って面白くないんですよねえ~・・・。

 などとつらつら自分に感想を述べていると、ガラリとドアが開きました。

 爪の手入れをしていた渡瀬副会長様と、数学の問題集を趣味で解いている会計の砂菱君も顔を上げます。ソファーでごろ寝している会長の漆原大地氏は微動だにしませんでしたが。

 安藤君は寒さと走ったために真っ赤になった顔に笑顔を浮かべて、何と、スイカを持っていました。

「安藤、でかした」

 渡瀬さんが美しく、上から微笑みます。それだけで安藤君は昇天しそうな表情でございました。

「え?スイカ、あったの?」

 私が驚いて立ち上がると、安藤君はいいえ、と首を振りました。

「園芸部にはなかったんです!」

 うん?砂菱君と私は首を捻りました。スイカの出身がどこでも構わないらしい渡瀬さんは、なにやら鞄を漁っておられます。

「・・・・どこから持ってきたんだ?」

 安藤君と同じく一年生の砂菱君の問いに、使いっ走り君は嬉しそうに言いました。

「園芸部にはなかったので、困って、園芸部の部長さんに相談したんだ!そしたら、うちにはないけど、生活指導室にあったのを見たって、教えてくれたんだ!」

 ―――――生活指導室?あらまあ。私と砂菱君は顔を見合わせました。渡瀬さんも、そこは耳に引っかかったようです。

 ま、派手なその外見から、渡瀬さんは新入生の時より生活指導とは数々のバトルを繰り広げていらっしゃったそうなので、アレルギー反応があるのでしょう。

「安藤、どういうことか判らないわ、説明しろ」

 渡瀬さんの一言で、嬉々として安藤君が話したのは、以下のようなことでした。

 生活指導の今年度の担当は、科学教師の垂水先生でいらっしゃいます。彼は実はとある財閥の出身で、株や配当や受け継いだ財産などで働く必要はないらしいですが、昔から科学や理科、物理に非常な興味がおありだったとか。

 そして大学生の時、趣味の科学に没頭するある高校生とある研究サークルで意気投合して以来、教える喜びに目覚め、教師を目指し、無事、我が校の科学教師になったという変わった経歴のお方なのですが・・・。

 金持ちのぼんぼん故、毎年お中元とお歳暮に、大量に品物を貰うんだそうです。

 そして独身の彼は一人では捌き切れないからと、その一部を高校へ持ち込んでは至る所に配りまくる(一部押し付けが入る)のですが、この冬の歳暮で、珍しい特殊な栽培方法を取ったとかで高価なスイカを頂いたんだそうで。

 園芸部の部員を呼んで散々自慢しまくったそうです。園芸部の部長は、それを言っているのでした。

 そして、何も知らないが故に恐れ知らずの安藤君は渡瀬女王様とついでにダレ会長の為にそのスイカを下さいませんか、と垂水先生に談判に行ったんですって。おバカですね~、生活指導なんて出来れば係わりたくないところへわざわざ生徒会の名前を持ち込むことはありませんのにねえ、ええ、本当に安藤君は脳みそが少々足りません。

 これでは立派なM男になれないぞっ!

 ・・・・ああ、話が逸れました、申し訳ないです。

 果敢に生活指導の部屋を開けた安藤君、そこには体育教師にシバかれるなんちゃってな不良さん達数名と、それをにこにことご覧になる垂水先生がいらっしゃったんですって。

 安藤君は言いました。

「垂水先生、スイカを下さい!」

 生活指導室は一瞬で静寂に包まれたことでしょう。可哀想です、さっきまでの怒りも忘れ、アホみたいに口を開けっ放しにする体育教師の顔を思い浮かべてしまいました。うう、なっさけない顔です、多分。

 垂水先生はスイカを出してきて(どこからでしょうねえ、安藤君は見ていなかったようでした)、これ?と確認して、どうして?とお尋ねになったそうです。それは、まあ、そうでしょうね。使用の意図を聞くはずです。そこは普通、食物である以上食べることが目的なはずなのですが、何せ科学の教師ですから、関西弁でいう「けったい」な使用方法を考えたのかもしれません。

「うちの渡瀬副会長と漆原会長が、食べたいんだそうです!」

 安藤君は言いました。よかった、まさか外で渡瀬女王様なんて呼んでないでしょうね、と私は疑っていたのです。一応副会長と言っているのですね、うんうん。

 垂水先生はそれを聞くと、少し困って、でも簡単にくれたんですって、スイカを。それじゃあ仕方ないですねって。

「えー?どうしてかしらね、あたしは別に垂水先生の弱みなんて握ってないわよーう?」

 渡瀬さんが少しだけ首を傾げて仰いました。

 教師から物をタダで貰える理由が、弱味を握っているかいないかという事がまず最初に浮かぶというのは、その時点で普通ではありませんね。勿論私にも先生に貸し借りなどありませんし、一年生の諸君もないでしょう。

 ってことは。全員でソファーに寝転ぶ会長様を見詰めました。渡瀬さんが寄っていきます。そして腕で目元を隠して寝ている漆原会長の鼻を、ぐいいい~っと掴みました。

「・・・・・いひゃい・・・」

 別に怒りも暴れもせず、ぼそりとそう呟いて、会長様は腕をどけて目を開きました。

 渡瀬さんは摘んでいた会長の鼻を解放して、腰に手をあて見下ろしました。

「漆原君、垂水先生の弱みを握ってるの?」

 おお、直球の質問ですね!さすが渡瀬さんです。言葉をオブラートに包む、ってことをちいーっともなさらないお方です!

 だるそうかつ眠そうに薄目を開けて、漆原会長様は仰いました。

「・・・・将棋。32対2で俺が勝ってる・・・」

 へええええええ~!!後の4人がまたハモリました。今日は珍しい日ですね。一致バラバラの我が生徒会執行部がちゃんと団結しております。・・・一名を除いて、ですが。

 それにしても会長様、将棋が強かったんですねえ。それ、学校でしてるんでしょうね、垂水先生と。もしかして金品など賭けて・・・・・いや、まさかまさか。生徒会長と生活指導の教師が学校でトトカルチョをしているなんて、言語道断です。

 ・・・やってそうですけど。すんなりスイカ渡したことを考えると。

 私は思わず頭を押さえました。




(話)山の上学園生徒会執行部の日常④


 「12月のスイカ割り」①


 皆様こんにちは~、ご機嫌はいかがでしょうか。私、山の上学園生徒会執行部書記の吉沢奈美子はお陰様で、元気に学生生活を過ごしております。

 季節はもうすっかり冬。学校も、あとは期末試験を残すのみとなりました。

 当代きっての最ダレ会長様である漆原大地氏の発言によって開催された迷惑な部費振り分けの余韻もようやく消え、ここ最近は平穏な日々ですね、良かった良かった。

 中間テスト、実力テストが終わり、何してるのかわかんなーい、と生徒には言われるこの平和な生徒会室に、今日も会長様はお昼寝にいらっしゃいました。

「あれ、会長今日も出勤ですか?」

 3年生ゆえクラブもないし、別にそれは構わないのですが、3年生はそろそろ受験勉強の底なし沼に嵌り込んでいるはずなのでは、と思って声をかけてみました。

 何て余裕気な、そして暇そうな受験生なのだ。

 うん、とただ仰って、会長様はふらりといつものソファーに向かいます。それをじーっと見る私と会計の砂菱君、そして下僕・・・いえ、失礼、使いっ走り(一緒か)の安藤君。

 まあ、見ての通りにお昼寝にきているのでしょう。別に構わないのですが、それならそれで帰宅したら良さそうなものですが。わざわざここで寝なくても。

 他3名は何となく顔を見合わせて苦笑し、それぞれの仕事に戻りました。

 といっても別に生徒会としてやることはないので、砂菱君は趣味である数学Bの問題集を開いて嬉々として片っ端から解きまくり(一度見せてもらいましたが私にはただの一問も判りませんでした)、安藤君は副会長の渡瀬さんに仕込まれた布で手首を縛る方法を復習しておりました。ちなみに私は授業の予習復習です。生徒会に入って一番の利点は、家に帰る前に宿題・課題・予習と復習が終えられるということでした。

 ユニークな人間ばかり集まりましたが、皆さん意外に頭がよくていらっしゃるのです。

 砂菱君は数学の世界では高校生のトップを走っておりますし、下僕の安藤君は歴史や言語系が得意で英語もドイツ語も独学で話せるようになったという男子です。

 そしてダレダレの会長様、漆原大地氏は成績の話で名前を聞いたことがなくとも通信簿は全教科4か5であったと1学期の彼の通信簿を勝手に覗いた渡瀬副会長様が仰っていたので数字の上ではバカではないでしょう。滅多に自発的な発言はなさいませんが、口を開くとその場の全員が彼の思い通りに動いてしまう結果になってしまうことから考えても、実は恐ろしい方なのかもしれません。

 そして今日はいらっしゃいませんが、実質我が生徒会を動かしている副会長様の渡瀬さん。中学校の卒業文集から将来の夢はSMクラブの女王様になること、と書いて、掲載を教師に渋られたお方です。美麗にして豪胆、制服を着ているのに鞭が似合う雰囲気が全身から漂う何とも目立つ女性ですが、立派な女王様になるのに学歴は不要と気が向いた教科しか勉強はしないそうです。ですが、気が向く教科が文系の殆どにかぶり、彼女は文系に所属しているので全く問題なしに学生生活を送ってらっしゃいます。

 ま、とにかく。そんなわけでここにいると判らない問題にぶつかったときに困らないのです。色んな解説方法が四方八方から飛んできますが、結局答えは一つしかないので、それがわかれば問題なし。

 その時、がらりとドアが開きました。

「あらあ、全員いるじゃないの~、皆暇人よね」

 噂の渡瀬さんが登場いたしました。

 さっそく安藤君が見えない尻尾を振って駆け寄ります。それに冷たい一瞥をくれて、そこをお退き!と声を飛ばすと、渡瀬さんはソファーで快眠中の会長に寄っていきました。

「漆原君、代々木の模試は明後日でしょうが、いいのこんなところで寝てて?」

 もぞもぞと会長様は寝返りを打たれます。そして呟きました。

「・・・いい。模試は実力で受けるもんだろ」

「それは実力テストでしょう。ま、別にいいんだけど~あたしには関係ないし」

 関係ないことはないんだと思いますが・・・。うちの高校3年は学校の方針で全員受けることが決まっているはずです。

 私が若干呆れてみていると、ツヤツヤのカールした髪を手で払いながら椅子に座った渡瀬さんが、こう仰りました。

「あーあ、あたしお腹すいた~。安藤、何かないの?」

 ピョンと飛び上がって安藤君は自分の鞄を引き寄せ、チョコレートを一箱取り出して渡瀬さんに捧げだします。

 それをちらりと見て、渡瀬さんは冷たく言いました。

「ダメよ、そんな。吹き出物が出来ちゃったら大変でしょう?フルーツがいいの、フルーツ」

 そんなものが高校の生徒会室にあるわけありますかいな。私は心の中で突っ込みました。安藤君はシュンとして見えない耳が垂れています。

 砂菱君が、それならば、と口を開きました。

「園芸部で、貰ってきたらどうですか」

 おお!と会長以外の全員で砂菱君を見詰めました。我が高の園芸部は広大な庭にビニールハウスまでもつ大所帯のクラブで、そこで採れた野菜や果物をマラソン大会の後の煮炊き物に提供したりしております。

 ううーん、いいなあ~。ぶどうとか、りんご・・・は流石にないか。いやでも枇杷とか・・・。私が想像をめぐらせていると、眠っていたはずの会長様がぼそりと呟きました。

「・・・スイカ」

「は?」

 あとの4人でハモりました。普段団結することの全くない私たちには珍しいくらい綺麗なハモりでした。

 ソファーの上でごろりと体勢を変え、片目だけをダルそ~に開いて、会長様はのたまいました。

「スイカ、食べたい」

 ああそうかよ!とは誰も突っ込めず、ただ呆然と見守る下級生一同。一人渡瀬さんだけが手を叩いて軽やかに笑い、賛同いたしました。

「賛成~!あたしも食べたい!よし、安藤!」

「は・・・はいっ!」

「とってこい」

 綺麗にぴしりと指を突きつけて、美しい瞳を細めて渡瀬女王様は下僕に命令なさいました。

 安藤君ははい!と敬礼して生徒会室を出て行きました。私と砂菱君は思わず顔を見合わせます。

「・・・・今、冬ですよね」

「そうよね」

「スイカはさすがにないっすよね」

「と思うんだけどね」

 さて、これまた生徒会長様の発言によって騒がしくなった我が生徒会室。どうなることやら・・・。



(話)山の上学園生徒会執行部の日常③


 「じゃんけん大会。欲しけりゃ運と努力で部費を獲得せよ」②


 今学期の各部への部費は、生徒会主催の全クラブ対抗戦じゃんけん大会の結果で振り分けを決めることとする。

 それぞれ3名の部員を選出し(内一名は必ず部長とすること)、勝ち抜き戦に参加のこと。不参加の部に対しては基本額の部費のみとなる。文科系と運動系とに分かれ、公明正大な試合を行うこと。

 詳細は後日、掲示板に張り出すこととする。


 問い合わせは副会長の渡瀬まで。

 文責:書記 吉沢


 以上のことを書いた紙を、私は恐る恐る各部に配布したのです。

 ソファーでダレダレと寝そべりながら口述した会長様、苦情係、もとい、問い合わせに渡瀬さんを指名した辺りに普段は見えない知性を覗かせました。そして文責はちゃっかり私になってますね。完全に責任逃れしてますね。何でこうなるのでしょうか。決定権は会長にあると誰もが知っているのに、怒れる暴徒と化した各部の部長副部長たちを先に副会長の渡瀬さんで防御しようというこの計画。やつ、結構策士かもしれません。

 予想通り、各部では盛大なブーイングが起こりました。

 まあ、そりゃあそうでしょう。クラブによっては大所帯のところもあるし、夏の試合や展覧会で偉業を達成したところなんかはボーナスが欲しいくらいでしょうからね。部費の為に頑張ったのではないとはいえ、ボール代や画材道具は高くってバカにならないでしょう。それを保護者からのカンパのみに頼るというのは無理な話で――――

「生徒会!!有り得ないぞ!どういうことなんだあああ~!!」

 ほらほら、今日も怒鳴り込みがいらっしゃいました。

 プリントを配布して3日、既に生徒会室には10名の部長様がいらっしゃいましたが、どれも渡瀬副会長が鮮やかに捌いてらっしゃいます。後の面々は手を休めて(昼寝している会長は除く)それを見守り、お菓子を口に放り込みつつ観賞しているのでした。

 渡瀬さんは艶やかに微笑んで、豊満な胸と腰を揺らしながら獲物に近寄っていきます。

 相手が男性であればまず間違いなく、ここで一度ノックアウトされるわけですね。顔の前に揺れる制服のリボンを見せ付けられて。女性であっても違う意味で一瞬戦意を喪失します。皆さん、ご自分の胸と比べてしまうようで。私はそろそろ慣れましたが、やはり最初の内はいちいち凹んだものでした。だって、たぷたぷ音がするんですよ、制服着てても!!

「ええと?あなた、どちらの方?」

 渡瀬さんは微笑みます。本当は勿論どこの誰だか知っているのに、です。ここでまた戦意のレベルが一つ下がります。相手は自分が誰であるかなど聞かれるとは夢にも思ってませんので。大体学校の名前を背負って立っているような記録保持者や名物部長だったりするものですから。

「じゅっ・・・柔道部の・・・って、渡瀬!同じクラスだろうが!木下だ!」

 顔を赤くして大きな体でふんぞり返って、相手は叫びました。

「はい、柔道部。それで何の用?」

 同じクラスであるという事実は見事にスルーして、渡瀬さんは更に微笑みを大きくしました。

「あのっあのプリントは何だ!?我が部はこの夏の全国大会でも非常にいい成績をのこし―――――」

 唾を飛ばす勢いで話出した柔道部の部長の全身を、舐めるように見回す渡瀬さん。言葉が続かず固まる相手。それをじいーっと観察する生徒会ご一行。高校生とは思えない完璧な化粧をした美しい瞳で、じっくりまったり余すところなく全身を見つめられます。渡瀬さんのこの視線攻撃(微笑みつき)に耐えれたら、それだけでオール5の成績を与えられてもいいと思えます。毛穴の一つ一つまでもが見られている気がしていたたまれないのです。ええ、恥ずかしくて死にたいと本気で思うのです。

 が、しかし、流石に猛者ばかりを束ねてきたもうすぐ引退の部長です、耐えました。多少顔は赤くなってましたが、仕方ありませんね。彼はぶるぶると頭を振って、何とか渡瀬さんから目を離すと、相変わらずソファーに寝そべっている漆原会長目掛けて突進しました。

「漆原あああああ~!!」

 上向きに寝そべって両腕を顔の上に置いていた会長様は、その腕を少しずらして怒れる柔道部部長を見ました。片目で。

「・・・うん?」

「漆原!あれは一体何なんだ!?公明正大などと言いながらふざけた方法で部費を分けようなどと、お前は何を考えているんだ!?」

 ・・・確かに。確かに、そうですね、木下さん。私はつい頷きました。前で砂菱君も頷いてます。皆思うことは一緒なのね。

 腰を振りながら歩いてきた渡瀬さんが言いました。若干気分を害されたようです。

「うるさいわねえ。男が一度決まったことに対してメソメソ言うんじゃないわよ、キシカワ君」

「木下だ!」

 カッとなって振り返る柔道部部長を鼻で嗤って、渡瀬さんは目を細めていらっしゃいます。制服を着ているのにも関わらず、手に鞭を持っていないのが不思議なくらいの堂々とした女王様然でした。それに見ほれる安藤君はハッキリ言って視界の邪魔です。

「答えろ、漆原!」

 また顔を赤くした木下さんがソファーを見下ろしました。それをだるそ~に見て、漆原会長はだらだら~っと口を開きました。

「・・・・面倒くせー。もういいや、柔道部、棄権ね」

 何!?と驚愕する木下部長さんの横で、渡瀬さんが嬉しそうに指示を出します。

「砂菱君、柔道部は基本部費のみで」

「はい」

 砂菱君は悩殺ラブリー笑顔でにっこり笑って、手元のノートに書き加えました。

「ま―――――待て待て待て待てええええ!!そんなこと言ってないだろうが!!」

 面倒臭がりの会長を刺激してしまったが故に、勝ちさえすれば大量にもらえるかもしれなかった加算分がアッサリと消えた木下さんが焦って叫びます。

「木下、うるせーよ」

 漆原会長はそう呟いてまた両腕を顔の上に乗せ、眠る体制を整えました。何というか、ある意味凄い人物だったのですね、うちの会長様は。話が面倒くさいからと、我が高が誇る実績ある柔道部を一気に赤貧レベルまで落としてしまうとは。私はぼんやりとそんなことを考えました。

「い・・・いや、参加だ!勿論柔道部は参加するぞ!基本部費だけなんて無茶苦茶だ!」

 既に睡眠モードに入ってしまった会長様に必死で言い募る木下さん。ああ、哀れです。渡瀬さんがおほほほと笑いました。そして美しく入口を指差して、言い放ちました。

「ならさっさと出ておいき!」

 顔面炎上状態の柔道部、退室。後には高らかな渡瀬さんの笑い声だけが響いておりました。

 そんなこんなで結局一度も苦情を言いにこなかったのは、我が高で最弱クラブ、イラスト部だけでしたね、確か。あそこは部員が3名しかいない上、イラストを描くのが好きなの~と言いながらたらたらと絵を描いてるだけの同好会のようなクラブで、勿論大会や展覧会への応募もしないので、ぶっちゃけ部費が要らないのでしょう。もしかしたら歴代生徒会には基本部費でさえ打ち切られていたのかもしれません。

 はい、たかがじゃんけん大会、されどじゃんけん大会。当日はそれはそれは大変な騒ぎでございました。

 喜んでいたのは渡瀬さんと暇だったらしい用務員のおじさんのみでしょう。私はあっちにバタバタこっちにバタバタで昏睡一歩手前でしたしね。各部、代表3名に毎日じゃんけんの練習を積ませ、賄賂をつかって最初にパーを出せだグーを出せだと相手方の下級生を抱き込もうとしたりで色々あったようです。

 必勝の文字をいれたお揃いのシャツを作っていたのは吹奏学部でしたかね、あれには驚きました。吹奏学部が出るときには後ろでファンファーレを鳴らし、うるさいと相手の合唱部がコーラスで対抗しておりました。

 体育館で、放課後に行われた「欲しけりゃ運と努力で部費を獲得せよ」のじゃんけん大会、ギャラリーには各部の引退した3年生と暇な先生が数名。代表の3名以外は声をからしての応援に周り、怒声と歓声とが響き渡り、このままでは騒音で苦情がくるのではないかと心配したくらいです。

 さて、夜の7時までかかったじゃんけん大会、結局運動部では女子卓球部、文科系ではパソコン部が勝利を収めました。以下、順位にあわせて砂菱君が弾き出した割合での加算額が決められました。やれやれです。早く帰宅して、お風呂に入りたかった私でした。でも危険かも・・・沈むかも。

 壇上表彰も面倒くさいの一言で片付けた会長様が雲隠れしたので、艶やかな微笑みを浮かべた渡瀬さんが部費と笑顔を授与しておりました。

 会長ー、どこいったんですかー。まったく、困った方です。

 そうして山の上学園のはた迷惑な部費予算わけじゃんけん大会は幕を閉じたのでした。

 ああ、皆様、お疲れ様でした。



「じゃんけん大会の巻・完」





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