本日も晴天なり。

「ちゃっかり」が座右の銘のワタクシ。毎日を楽しく驀進中。 趣味でネット小説を書いています。その更新状況やイラストアップなどの報告も兼ねて。

イラスト

読み手様人気キャラ投票3位の部屋


「ここ、ですかね~」

「ここだろうな」

 コンコン。会話の後で、ノックされ、ドアが開かれた。

 大きくドアを開けて、スタスタと入ってくる男と、その後ろをキョロキョロしながら入ってくる女。

 男は稲葉忍。保険会社で管理職にあたる支部長をしている。長身かつ美形。仕立ての良いスーツを着こなして、トレードマークの垂れ目で周囲を見回した。

「・・・何もない」

「ないですねー」

 答えた女は神野玉緒。保険会社で営業職員をして6年目になる。稲葉が担当する支部においてはダントツの稼ぎ頭である、現在28歳。

 今日二人は揃ってこの部屋に呼ばれた模様。パイプ椅子2つしかない部屋を見回して、不服そうに稲葉が言った。

「飲み物すらない。どこかにインターフォンとか、ないか?」

 玉緒はさっさと椅子に腰掛けて、美形の上司を呆れた顔で見上げた。

「カラオケじゃないんですから・・・。飲み物持ってこーい!とか言うの、やめて下さいよ、支部長」

 ふん、と稲葉はそっぽを向く。

「俺は多忙なんだ。こんな、何もない部屋でぼーっとしてるような余った時間はないんだよ」

「いいですよ、どうぞお帰り下さい。私はアポまで時間あるんで休憩していきますから~」

 稲葉はちらりと玉緒を見下ろした。今朝の対話でスケジュールを聞いたことを思い出す。そうか、夕方のクロージングがあったっけ・・・。

「暇だしロープレでもやるか?」

 稲葉の提案に露骨に嫌そうな顔をして、玉緒は手を振った。

「結構です。もう完璧ですから。絶対貰ってきますよ、契約」

 大体私のクロージングはあんた仕込みだ、と心の中で玉緒は突っ込んだ。

 それから10分しても誰もこず、事態は進展しない。二人ともイライラしていた。

「くそ、無駄だ。帰るか」

 玉緒も頷いた。

「そうですね・・・。じゃあ、支部長、私はここで」

「え?」

 何でだよ、と振り返る稲葉に、玉緒は当然の顔で返す。

「ついでだからここ、飛び込みしていきます。総務はどこかな~。建物結構大きいから、従業員もたくさんいそうでしょ」

 既に営業の顔に戻って、玉緒は鞄を掴んでいる。本当、営業職はこの子の天職だな―――――そう思いながら稲葉はため息をついて、彼女の後ろから歩きながら言った。

「じゃあ俺も同行するよ。・・・あ、今日名刺なかった」

 途端に玉緒は手をヒラヒラと振った。

「あ、じゃあいいです。名刺持たない上司なんて邪魔なだけですから。肩書きがものを言うのに、持ってないなんて、支部長役に立たないわ~」

 稲葉は絶句した。

 著しく傷付いた胸の辺りを押さえて、ヨロヨロと壁に手をつく。

「・・・神野・・・今お前、俺のアイデンティティーの根底から破壊したぞ・・・」

「え?何ですか?もう行きますからね」

 玉緒は、既に聞いていない。



 主要女性キャラ3位「神野玉緒」(キウィの朝オレンジの夜)

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 最後の最後に梅沢翔子を抜かして浮上した玉緒ですね。ごめんね、イラストが雑で・・・。玉ちゃん怒らないよね~。


 主要男性キャラ第3位「稲葉 忍」(キウィの朝オレンジの夜)

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 途中まで1位を独走してましたけど、中盤で楠本に抜かれて最後は大地にも抜かれてしまいました。私の作品の中では一番のSかもしれません。だけど、人間くささも一番という男です。この男もイラストが安定しなくて私は困ってますね・・・。
 一番最初に描いた、卓球前の稲葉が一番イメージに近いんですけど、あれが二度と描けなくて。あーあ。

 さて、これでキャラ投票は終わりですね。ご協力くださった皆様、本当にありがとうございました。

読み手様人気キャラ投票2位の部屋


 ドアの前で、桜井愛音は佇んでいる。

「うーん・・・」

 入っていいものだろうか。ここに来るようにとやたら偉そうな態度の女性に言われてきたけれど、今日は平林の酒屋の配達も結構入っているから、本音を言えば帰りたかった。

 何をするんですか、と聞けば、ただこの部屋に少しの間いてくれたらいいから~と言われたのだ。

 それって、どういう事??

 頭の中をハテナマークで一杯にしたけど、平林の両親が「行って来い」と背中を押してくれたものだから、取りあえず来てみたのだけれど―――――――

 ふう、とため息をついて、ドアをノックした。中には誰か、いるのかなー?

「・・・はい」

 低い声で返事が聞こえたから、愛音は失礼します、と声を掛けて入ってみる。

 中は長机と椅子がおいてある、会議室のようだった。そこには男が一人。現在恋人の平林孝太ほどではないにせよ、かなり長身の人なんだろうと判った。

 長い足を持て余したようにだら~っと机に頬杖をついている。伸びた前髪の間からちらりとこっちを見た。

「・・・ええと、こんにちは」

 取りあえず挨拶をすると、相手は会釈をしてきた。・・・年上っぽい。そして、この人はどうしてここにいるのだろう。

 面接?いやいや、だって私、何の仕事にも応募してないしな。

 いつまでもそうしていても仕方がないので、愛音は部屋に入り、一瞬躊躇してからドアを閉める。そして一番端っこに腰掛けた。

 部屋の中はシーンと静まり返っている。

「・・・・・・」

 ど、どうしたらいいんだろう。孝太さんがお喋りだから、静かな男性といるとどうしていいかが判らない~・・・。帰りたい・・・。愛音がそう思っていたら、件の男性は大きな欠伸をした。そしてだら~っと顔をこちらに向けて口を開いた。

「・・・漆原と言います」

「あ、私は桜井です」

 愛音は急いでまた会釈をする。漆原と名乗った男性は指でぽりぽりと鼻の頭をかいてから、ぼそっと言った。

「何だかよく判らないんだけど、とりあえず、誰か来たりで変化があったら起こしてください」

「え?・・・あ、はい」

「宜しく」

 そう言うと、男の人は突っ伏して寝てしまった。

「・・・・」

 コチコチと響くのは時計の音だけ。

 うわーん、帰りたい~!!寝ちゃったよこの人~!!


 困惑してうんざりした愛音は一人、部屋の端っこで困り果てている。



 主要女性キャラ第2位「桜井愛音」(シャンパン越しの眼差しを・短編)

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 主要男性キャラ第2位「漆原大地」(鉢植右から3番目)


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 可哀想な愛音ちゃーん。大地と一緒の部屋に入れられて困らない人って滅多に居ないような気が・・・。

明日は3位やります。

読み手様人気キャラ投票1位の部屋


 コンコンとノック。

 既に中に入って革張りのソファーでのびのびとしていた男は、反射的に体を起こして出迎えの姿勢をとった。

 がちゃりとドアが開く。

 相手が見えた途端に、部屋の中の男と部屋の外の女はハモった。

「「げ」」

 男は楠本孝明。保険会社でファイナンシャルプランナーとして忙しい日々を送っている。誰が見ても「美男子である」と認めるこの男は、ソファーに座りなおした後、折角の端整な顔を歪めて言った。

「どうしてまりっぺがここにいるんだ?」

「お言葉ね」

 そう返した女は桑谷まりという。旧姓、小川まり。彼と彼女は大学時代からの悪友であった。

 胸下までの髪を揺らしながら、女はわざとヒール音を立てて部屋の中に入ってくる。

「退きなさいよ、レディーファーストって言葉を知らないの?」

 楠本の前に仁王立ちになって、まりは上から言い放つ。楠本の眉間に皺が寄る。彼は口元をくっと上げて、切れ長の瞳を細めて威嚇し返した。
 
 そして、ハスキーな声でゆっくりと言う。

「ここにレディーがいるなら教えてくれ。居るなら勿論、失礼があっちゃいけねーよな」

 まりがにっこりと微笑んだ。濡れたような目は優しく細められ、唇が綺麗な三日月を形作る。

「そうね、女性をエスコート出来るほどマトモな男性がいたら、教えて差し上げることにするわ。どうやら目の前にいるのは金メッキの愚像らしいから」

 二人の目から光線が発射された。

「んだと!?」

「んだよっ!!」

 親友と呼べるこの二人がやってきた数々の冒険の記録は大量にあるが、その数にも負けないほどの喧嘩の歴史も大量にある。

 一番酷いときには二人とも病院送りになって、大学から謹慎処分を受けたこともあった。

 今ではお互いに34歳になり家庭を持っているというのに、たまーに会えば取りあえず威嚇から入る二人なのだった。二人にとって、これは挨拶みたいなものである。そして、その後は長時間に渡る酒盛りが始まり、夜を徹して一緒に飲んだくれる。ちなみに、まりは酒には強いが、楠本には負ける。


 女性主要キャラ投票、1位「小川まり」(女神シリーズ) 

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 最初から最後まで1位を独走しましたね、まりっぺです。すげー、流石女神だわ(笑)


 主要男性キャラ第1位「楠本孝明」(トマトときゅうり)

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 楠本、前髪おろしバージョンを描いてみました。ちょっと感じが変わったものになりました・・・そして童顔。おかしいなー。こんなはずでは。


 次、2位やります。

(話)まりmeets薫


 やっぱり、リクエストが多かったので~

*********************



「あ」

「・・・・あ」

「あーっ!!桑谷さーん!!」

「あら、滝本さん。お久しぶりです」

 今日も晴天の真夏日、昼下がりの繁華街で、まさかまさかの遭遇をした。しかも、お互い相方連れで。

 確率にしたら宝くじが当たるより低いに違いない、そう、二人の男は瞬間的に思った。そしてこれまた同時に顔を顰め、回避の姿勢を取った。

「――――・・・こんにちは、野口さん。あー・・・また、今度」

「久しぶりですね、まりさん。お元気そうで何より。急ぐので失礼」

 男二人はほぼ同時にそう口にして、回れ右をしてそれぞれの女の腕を引っ張る。男同士は相手に視線すら投げなかった。まりは桑谷の顔をちらりと見ると、顔を向けて滝本の連れる女の子を振り返った。そして瞳を煌かせて微笑む。

「野口さん?お話に聞いてます。私は桑谷の妻で、まりと言います」

「はい、まりさん!噂のまりさん!会いたかったんです~!うれしーい!!」

 薫にいたっては完全に体をまりへ向けてケラケラと笑う。既に歩き出そうとしている滝本がガッシリと腕を掴んでいるのをアッサリ無視していた。

「・・・薫、行くぞ、遅れる」

「うるさいわね、ケチ。5分やそこら大丈夫だっつーの」

 ぐいぐい引っ張る滝本の手をぴしゃりと叩いて薫はまりに笑顔を向ける。ショートカットの黒髪にはキラリとところどころ茶髪が光る。スッキリとした体に小さな顔が乗っていて、その表情は好奇心に溢れ、元気が破裂したような彼女だ、とまりは思った。成る程、この子なら滝本のことも対等にあしらえるだろう――――――

 薫もまりを見て、一人で納得していた。わお、綺麗な人。この人の目は、何て表現したらいいんだろう。潤っていて、柔らかい光があるのにじっと見られると自分が捉えられて溶け出しそうだ。この人の言うことなら桑谷さんが聞いちゃうの、判るような気がするわ~!何せ、ベタ惚れらしいし。強さを瞳で儚さを佇まいで、同時に醸し出している女の人だ。

「野口薫です!桑谷さんにはいつもお世話になってます!まりさん、是非今度一緒に―――――」

 弾んだ声で薫が話すのを、野郎二人が一刀両断した。

「「駄目」」

 は?そう叫んで薫は滝本を振り返る。図らずも滝本とハモってしまったのを居心地悪く感じながら、桑谷はまりの体を引き寄せた。

「ほら、雅の迎えの時間だ」

 まりはまたちらりと桑谷を見上げると、にやりと口元をほころばせた。

「もうお迎えに行くの?なら二人で買い物はなしにするのね?」

 ぐっと詰まる桑谷を見て、嬉しそうに薫が爆笑している。その後ろで滝本が眼鏡の奥の瞳を細めて冷然とかつての相棒を睨んでいた。

 ―――――マヌケ。

 そう言ってやがるに違いない、桑谷は思わず眉間に皺を寄せて舌打をする。

 どんどん不機嫌になる男二人をほったらかしで、彼女達は笑顔で言葉を交わす。

「お茶しましょう。連絡先教えて下さる?」

 まりが言うのに、薫がはーい、と右手を挙げる。

 近づこうとする薫を、今度は腰から引っつかんで、滝本が歩き出した。

「また今度だ。連絡先は彰人が知ってるんだろう?」

「え?だって今交換するのが早いし――――」

「行くぞ。では、失礼」

 片方でも同じことが起きている。

「彼女の携帯は俺が知ってる。さっさと買い物済ませようぜ。―――野口さん、じゃあまた!」

「・・・本当に知ってるの?」

「知ってる知ってる」

 ぐいぐいとまりの手を引いて桑谷は進む。パッと顔を向けて、同じように振り返った薫とまりは視線を合わせた。

 薫がぺろりと舌を出す。それに笑顔で応えてまりはひらりと手を振った。


 ――――――絶対に・・・

 女は二人とも企んだ微笑で前を向く。

 
 ・・・絶対に、お茶してやるんだから。


 無理やり引き離したあと、男共はそれぞれが後悔していた。・・・あそこで見張りの元、思う存分話しをさせた方が被害は少なかったかもしれない、と考えて。

 だけど、桑谷がまりに詰め寄られるだけで物事は済んだのだ。

 なぜなら、桑谷は薫の携帯番号など知らなかったし、調べようともしなかったからである。そしてそれに関しては、いかにまりが脅そうとも桑谷は首を縦に振らなかった。


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 こんな具合で、いかがでしょうか~。

 あはははは、楽しかった。

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